高靇(たかお)神社と名の付く神社は栃木県内に多数あり、googleマップで「日光市 高靇神社」で検索すると4箇所表示されます。
瀧尾神社と同様、栃木県を中心に信仰されている神社であるようです。
今回訪れたのは、日光市東部にある荊沢(おとろざわ)地区にある高靇神社です。
高靇神社までの道のり
荊沢の高靇神社までの出発点としてわかりやすいのは、日光市立今市中学校。私の母校です。
私が通っていたころは木造の旧校舎でした。
今市中学校の東側の道を北に向かいます。まっすぐ行くと大谷川です。
今市中学校の裏側には田んぼが広がっています。
田んぼのどん詰まりを右、つまり東方向に曲がって、杉林と田んぼの間の道を進んでいきます。
しばらく行くと「水神」と彫られた石碑が立っていました。
裏に回ると「荊沢五ヶ村用水之沿革」とあり、この石碑が立てられた由来が書かれていました。
大雑把に説明すると、戦後すぐぐらいに大谷川に洪水が起こり、そのせいで地形が変わって荊沢の農村に水が引けなくなってしまたため、河岸を掘削して用水路を開こうとしたところそこは個人の所有地だったので、村は水の使用量を支払わなくなってしまった。長年自治体に働きかけ、やっと公的に用水路を開く許可が得られ、用水路ができた記念に立てられた。ということらしいです。
まるで江戸時代のような出来事が昭和に起きていたというのがすごいですね。
その隣の石は表面が削れており、裏にまわっても何も彫られていなかったのでなんだかは不明。おそらく庚申塔か道祖神でしょう。
林の中にある田んぼに(おそらく)ダイサギがいました。こっそり近づいて撮影しようとしましたが、気づかれて逃げられてしまいました。
今中から30分ほど歩くと、林の中に社殿がみえてきました。この手前に神社に向かっているらしい舗装路があります。ただ、社殿の向きからして参道ではなかろうと思ったので歩を進めます。
はたしてやはりこの先に参道と鳥居がありました。
高靇神社の由来と御祭神
荊沢の高靇神社については御由緒はまったく不明です。
主祭神は高龗神(たかおのかみ)、もしくは大山祇命(おおやまつみのみこと)。これ調べるとどちらの神様も書いてあってどちらが本当の御祭神かはわかりません。
神社の名称からして高龗神のほうが正しい気がします。
高龗神とはどんな神様か調べると、京都の貴船神社の主祭神だと出ました。貴船神社といえば丑の刻まいりで有名な神社ですね。
もっとも、貴船神社で丑の刻まいりを推奨しているわけではないので、藁人形を打ち付けるようなことはやめましょう。
高龗神はまた淤加美神(おかみのかみ)とも呼ばれます。
伊邪那美命が火の神である加具土命を生むと、その火で焼かれて亡くなってしまいました。
夫である伊邪那岐命はお怒りになり、加具土命を斬り殺してしまいます。そのとき、加具土命の血や体からたくさんの神様が生まれました。
高龗神も加具土命から生まれた神様の一柱です。
龗は龍の意味があり、つまり高龗神は水を司る竜神の眷属とも言えるようです。
高龗神はまた、神話の系譜では大国主の命のご先祖にあたります。
一方の大山祇命は、古事記では伊邪那岐命と伊邪那美命のお子様だとされ、日本書紀では加具土命から生まれたうちの一柱だとされています。
ご神名から山を守護する神様であるようです。
この高靇神社は、かつて暴れ川だった大谷川のすぐそばに建てられているので、その意味では高龗神をお祀りするんのがふさわしいと思います。
また一方で、高靇神社の直線状に男体山があり、男体山を拝むように作られているとも言われているので、その意味では大山祇命をお祀りするのがふさわしいとも言えそうです。
いずれにせよ、自然環境に大きく左右される農村では見えざる大自然に畏怖をもって、荒ぶらないように神様としてお祀りしたということでしょう。
高靇神社の境内の様子
高靇神社の鳥居。
鳥居の先、石垣が組まれた参道には幾重にも蜘蛛の巣がかかっていました。
あまり参拝に来る人がいないのかもしれません。
できるだけ巣を壊さないにうに、糸の場所を見極めてまるでレーザー警報機をくぐり抜ける怪盗のように進みました。
まさに村の鎮守といった雰囲気の拝殿です。
御大典記念の手水鉢。御大典というのは天皇の御即位を意味します。
この古さから言って大正か昭和に作られたものでしょう。
柄杓はなく、青く淀んだ水が溜まっていました。
その後方に水道の蛇口があるので、そちらで手を清められます。
かわいらしいデザインの狛犬さん。
お参りしようと拝殿の前に立つと、榊にご飯が乗せて供えられていました。参道ではなく車が入れる舗装路のほうから神主さんか氏子さんが来ているようです。
こうした参拝者が少なく神主さんが常駐できない神社の場合、神主さんが他の仕事と兼業していたり、あるいは他の神社の神主さんが管理していたりということがあると聞きます。
拝殿に掲げられた額。これで「高靇神社」?読めません。
拝殿の側面と、その後ろにつながる本殿。
拝殿の横に恵比寿と大黒の像が置いてありました。
拝殿のよこには小さな摂社があります。
中に、上州板倉雷電神社の御札がありました。雷電神社は群馬県にある天神さま=菅原道真公をお祀りする神社です。
その奥には仏像などが並んでいます。
三宝大荒神は仏教を守護する神様。神仏習合の文化の中で日本で作られた神格です。
こちらはおそらく不動明王。
お顔は無事なので、壊れているのは廃仏毀釈運動で故意に壊されたものではないでしょう。
こちらには如来像。
こちらはどなたかわかりませんが、蓮の台に座っているので仏菩薩なのは間違いないです。
その前には布袋尊が埋まっていました。どうして布袋だけこの扱い…
高靇神社の情報
高靇神社
日光市荊沢388
東武日光線下今市駅から徒歩1時間ぐらい